コラム

2025.02.05

眼瞼下垂とはどのような病気?原因や種類、症状や治療までを網羅して解説

眼瞼下垂とはどのような病気?原因や種類、症状や治療までを網羅して解説

加齢に伴って瞼が重たく感じてきた、あるいは下がってきたといったお悩みは、多くの方が抱えています。見えにくさから疲れを感じてしまう、指で瞼を押さえた状態でないとテレビが見づらい、好きだった読書が億劫になったなど、辛い症状に悩まされている方もいるでしょう。眉毛を上げた状態でないと見えにくい、正面を向くときに顎を上げてしまう癖がついた、額のシワがはっきりしてきた、こういった症状は眼瞼下垂の可能性があります。また、瞼が下がってしまったことにより、逆さまつげが起こることもあります。

当院では、眼瞼下垂の治療に対応しており、患者様の生活の質を高めるサポートを行っています。

以下では、眼瞼下垂の原因や種類、症状や治療法まで網羅的に解説します。

 

●眼瞼下垂とは

眼瞼下垂とは眼瞼下垂とは、上瞼の機能異常により瞼が下がってくる疾患で、発生リスクが高いです。上瞼が垂れ下がり、黒目の中心の瞳孔に覆いかぶさった状態です。

瞼が重く感じて目を開けるのが面倒くさい、上瞼が垂れ下がり見えづらい、頭上のものが見えづらく頭に障害物がぶつかることが多くなるなど、日常生活に影響を及ぼします。また、顔を上げて物を見るようになるため、頭痛や肩こりが繰り返し起こるようになったり、自律神経の乱れを招いて気分が落ち込んだりすることもあります。

眼瞼下垂の症状
眼瞼下垂では、次のような症状が起こることが多いです。
特に50代以降の方は症状が強く現れやすいので、是非ご確認ください。

  • 瞼が重くなる
  • 目を開けるのが辛い
  • 上瞼が垂れ下がって物が見えづらい
  • 肩こりや頭痛、眼精疲労などが繰り返し起こる

また、外見上の変化も現れます。

  • 瞼が垂れ下がり、老けた印象を持たれる
  • 「いつも眠たそうに見える」と言われる
  • 「睨んでいるように見える」と言われる
  • 眉間の横ジワがはっきりしてきた
  • 何か物を見るときは顎や眉毛を上げるようになった

眼瞼下垂を放置した場合、視野狭窄などに加え、肩こりや頭痛、眼精疲労などの症状も伴うようになります。
上記のうち、該当する症状がある場合は一度当院までご相談ください。

病状の重症度

問診や視診、触診、眼瞼動作テストにより、重症度をある程度は判断できます。

  • 軽症:目を開けようと意識することで、瞼が黒目にはかかるものの瞳孔にはかからない
  • 中等症:目を開けようと意識しても、瞼が瞳孔に部分的に覆いかぶさる
  • 重症:目を開けようと意識しても、瞼により瞳孔の半分以上が隠れる

別の原因疾患の可能性がある場合、眼科や神経内科にて専門的な診察・検査を受けることが必要です。

病状の重症度

 

●眼瞼下垂の原因

眼瞼下垂の原因は様々なものがありますが、以下が代表的な原因です。

【病状の重症度】
加齢に伴って筋肉や腱膜が弛緩し、瞼が垂れ下がることがあります。特に60歳以上の方に多いですが、早い方だと40代から認められます。

【外傷】
運動中の接触や交通事故などにより発生した瞼や目の外傷により、眼瞼下垂が起こることがあります。

【先天性】
先天的に眼瞼挙筋が弱い方は、幼少期から眼瞼下垂が起こることがあります。また、先天性の場合は両目に症状が出ることもあります。

【神経疾患】
神経疾患(重症筋無力症など)が原因となって眼瞼下垂が起こることもあります。重症筋無力症は、末梢神経と筋肉の繋ぎ目である神経筋接合部に障害が発生し、筋力低下が起こる疾患です。

【瞼に負担をかける行為】
瞼に負担がかかる行為により、眼瞼下垂が起こる可能性があります。例えば、コンタクトレンズの長時間の装用(特にハードコンタクトレンズ)、濃いアイメイク、まつ毛エクステの装着、アイテープ・アイプチの使用などが原因に挙げられます。
また、アトピー性皮膚炎や花粉症などにより起こるかゆみが気になり、瞼を触ることでも瞼に負担がかかってしまいます。
これらの行為により、瞼にダメージが少しずつ溜まっていくと、挙筋腱膜が緩む、あるいは外れてしまい、眼瞼下垂に繋がる可能性があります。

 

生活習慣病も発症要因となります

高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病を発症している場合、眼瞼下垂の発症リスクが高いです。
これら生活習慣病と眼瞼下垂の関連性ははっきりとはしていないものの、生活習慣病を改善・予防することで、眼瞼下垂の予防効果も期待できると言われています。

【高血圧】
血圧が持続的に高い状態です。自覚症状は乏しいですが、血圧が高い状態を放っておくと動脈硬化の進行を招き、心筋梗塞など深刻な疾患に繋がる恐れがあります。
高血圧の原因には、遺伝、ストレス、塩分の過剰摂取、飲酒、喫煙などがあります。

【糖尿病】
慢性的に血糖値が高くなる疾患です。
暴飲暴食や運動不足、肥満など生活習慣の乱れにより、インスリンの分泌が不足、あるいは作用が低下することが原因となります。
糖尿病は完治させることはできず、重症化すると様々な合併症が起こる可能性もあります。
そのため、食事療法や運動療法、薬物療法により血糖値を安定化させる必要があります。

【脂質異常症】
血中のLDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪が高い状態、あるいはHDL(善玉)コレステロールが低い状態です。
悪化すると動脈硬化の進行を招き、心筋梗塞や脳梗塞に繋がる恐れがあります。
暴飲暴食や肥満、運動不足、ストレス、喫煙などが原因となり、日頃からカロリーが高い食事となっている方は発症リスクが高いため特に注意が必要です。
治療は、食事療法と運動療法を行います。

 

眼瞼下垂症の種類

後天性眼瞼下垂
後天性の眼瞼下垂です。これまでは特に目を問題なく開けられていたにもかかわらず、少しずつ、もしくは突然上瞼が下がってきます。いくつかの種類に分けられますが、なかでも目の腱膜(挙筋腱膜)が伸びる、あるいは緩むことで発生する「腱膜性眼瞼下垂」が多いです。
加齢が原因となることが多いですが、その他にも、コンタクトレンズを長時間装用している方(特にハードコンタクトレンズ)、白内障・緑内障・硝子体の手術歴がある方は発症リスクが高いです。

先天性眼瞼下垂
先天性の眼瞼下垂です。両目に症状が出る方もいますが、約8割は片目に眼瞼下垂が起こります。生まれつき上眼瞼挙筋の力が弱い、あるいは瞼を上げる筋肉をコントロールする神経に問題があったことが主な原因です。視力の発達に影響を及ぼし、弱視や斜視の原因となることが稀にあります。弱視や斜視が認められる場合は早急に手術を行いますが、視力への影響がない場合は経過観察での対応となります。手術時期については医師と相談のうえで決めていきます。

偽性眼瞼下垂
眼瞼痙攣や顔面神経麻痺などにより、一見上瞼が下がっているように見える状態で、実際に眼瞼下垂を発症しているわけではありません。眼瞼下垂の手術を実施しても症状は解消しないため、正しく見極める必要があります。

医原性眼瞼下垂
医原性眼瞼下垂とは、二重瞼の埋没法などの施術を受けた後、腫れが引いたのに目が開けづらい状態です。人によっては頭痛や眼瞼痙攣も起こることがあります。埋没した糸を除去することにより改善が期待できます。

 

眼瞼下垂と似た疾患

眼瞼皮膚弛緩症(がんけんひふしかんしょう)
眼瞼皮膚弛緩症とは、加齢などにより皮膚が弛緩することで瞼が下がる疾患です。瞼を上げる筋肉の働きには異常は起こっていません。

眼瞼痙攣(がんけんけいれん)
眼瞼痙攣とは、目の周囲に存在し瞼を開け閉めする働きがある眼輪筋に異常が発生し、筋肉の痙攣が不随意に起こる疾患です。瞼が下がってしまうため、眼瞼下垂と混同されてしまう可能性があり、正確な診断が求められます。

 

眼瞼下垂の判別方法

アイプチや細い針金などを使って瞼を上に上げます。瞼の縦幅が大きい場合は眼瞼皮膚弛緩症の診断となり、縦幅が小さい場合は眼瞼下垂と診断されます。
眼瞼下垂の重症度は、瞳孔中央から上瞼縁までの距離で判断されます。瞳孔中央から上瞼縁までが2~4cmの場合は軽度眼瞼下垂、2cm未満の場合は重度眼瞼下垂となります。

 

眼瞼下垂の治療法

眼瞼下垂は注射や内服薬などの薬物療法は効果が不十分なため、治療は手術が基本となります。眼は外見上において重要な部位のため、患者様の状態に適した処置となるように手術は様々な方法が確立されています。当院で行う手術には保険が適用されます。以下が主な術式です。

挙筋前転術(きょきんぜんてんじゅつ)
緩んだ挙筋腱膜を瞼板に再固定する手術です。上瞼の二重のラインを切開後、緩んでいる挙筋腱膜と瞼板を切り離し、そこから挙筋腱膜を引き出して、腱膜の張りを回復させるように瞼板に糸により再固定します。たるみが取れることで、目を開けやすくなります。

※当院では筋肉性の眼瞼下垂への手術は行っておりません。診断の結果、難しい症例の治療が必要な方は近隣の大学病院を紹介いたします。

前頭筋吊り上げ術(ぜんとうきんつりあげじゅつ)
上眼瞼挙筋の機能が大幅に低下しており、挙筋前転術では効果が見込めない重症例が対象となります。太もも外側の筋膜や糸などを利用し、眉毛を上げる筋肉(前頭筋)と瞼板を連結する手術です。眉毛を上げる動作により、瞼を楽に開けられるようになります。

※当院では筋肉性の眼瞼下垂への手術は行っておりません。診断の結果、難しい症例の治療が必要な方は近隣の大学病院を紹介いたします。

余剰皮膚切除術(びもうかよじょうひふせつじょじゅつ)
余ってたるんだ上眼瞼皮膚を切除する方法です。上眼瞼皮膚を切除する「眼瞼皮膚切除」と眉毛の下のラインで切除する「眉毛下皮膚切除」に分けられます。切除範囲は、患者様が座った状態あるいは立った状態で診察しながら決定します。また、目の周囲にある眼輪筋も切除することもあります。最後は細い糸により縫合します。瞼が下げる原因となるたるんだ皮膚を除去するため、目が開きやすくなります。

 

手術後の休暇期間

眼瞼下垂の手術を希望される患者様には、ダウンタイムの期間を気にされている方もいらっしゃるかと思います。
ダウンタイムとは、治療後から普段の生活に戻れるまでの期間を意味します。すなわち、自宅での安静、生活上の行動に制限が入る期間とも解釈できます。

当院で手術を行った場合、仕事へ戻るまでの期間は職種次第ではありますが、事務職や営業職などホワイトカラーの職種であれば、翌日から復帰できます。なお、状態によっては翌日の仕事復帰は推奨できないこともあります。万全の状態、すなわち他人からは顔を凝視されなければ気づかれない状態になるまでには、少なくとも2週間ほどかかります。1ヶ月ほど経過すれば、ほとんど他人からは気づかれない状態になります。

 

日頃から取り組める予防法

眼瞼下垂の予防には、瞼に負荷がかからないように生活習慣を改善する必要があります。

【瞼にダメージを与えない】
目がかゆいからと擦ってしまったり、瞼をマッサージしたりすることで、瞼に刺激が加わってしまいます。
アトピー性皮膚炎や花粉症などによるかゆみが気になる場合、医療機関にてかゆみを抑える治療を受けましょう。

また、アイメイクを落とす際も瞼を強く擦らないようにしましょう。クレンジングの際に瞼に負担がかからないよう、つけまつ毛や濃いアイメイクはできれば控えた方が良いでしょう。また、アイテープやアイプチも、のり成分がかぶれの原因となり、瞼に負荷がかかるため、できれば控えることをお勧めします。

【紫外線対策と保湿ケアを徹底する】
肌の乾燥や紫外線による肌のダメージは、肌に角質が溜まる角質肥厚の原因となります。瞼に角質が溜まることで重くなり、眼瞼下垂に繋がる可能性もあります。
そのため、紫外線対策と目元の保湿ケアをしっかり行いましょう。

【パソコンやスマートフォンなどを見続けない】
パソコンやスマートフォンなどを長時間見ると目に負担がかかるため、適宜目をつむる、遠くを見るなど、画面から目を離す時間を設けましょう。
また、作業中のまばたきの回数を増やすことで、目の表面の乾燥を防ぐこともできます。

【コンタクトの付け外しはゆっくり行う】
コンタクトレンズの付け外しの際に上瞼を強く持ち上げると、瞼に負担がかかり、眼瞼下垂が起こる可能性があります。そのため、ゆっくり付け外しを行いましょう。
また、装用時間もなるべく短時間に抑えることも有効です。ご自宅で過ごす間は眼鏡を装用することで、眼瞼挙筋の負担を少なくできます。
ハードコンタクトレンズをお使いの方は、ソフトコンタクトレンズに切り替えることで眼瞼下垂の発症リスクを抑えられます。

【眼瞼挙筋を鍛える】
眼瞼下垂は、瞼を上げる筋肉である眼瞼挙筋が弱まることが最大の原因です。
眼瞼下垂を予防するため、眼瞼挙筋を鍛えるトレーニングを行いましょう。以下が具体的なトレーニングの手順となります。

―眼瞼挙筋トレーニング

①目をゆっくりと閉じ、額の力を抜きましょう。
②左右の眉を固定するイメージで、手のひらで額全体を押さえましょう。
③両目を思い切り開き、その状態を5秒維持してください。
④静かに目を閉じてリラックスしましょう。

上記の流れを1日に数回行いましょう。

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