コラム

2025.02.04

眼瞼下垂はどういった特徴がある?症状やなりやすい人の特徴、予防法を解説!

眼瞼下垂はどういった特徴がある?症状やなりやすい人の特徴、予防法を解説!

「最近、目が開けづらい」「瞼が重く感じてきた」などのような症状にお悩みではないでしょうか?
このような症状は眼瞼下垂の可能性があります。眼瞼下垂は、加齢など原因が多岐にわたります。

本ページでは、眼瞼下垂になりやすい方の特徴、ご自身で取り組める予防法などについて詳しく説明します。
眼瞼下垂は自然治癒することはなく、改善するためには手術が必要となります。以下で解説する特徴に当てはまる方は、予防策に取り組んでみましょう。

 

●眼瞼下垂とは

眼瞼下垂とは眼瞼下垂は、目を開ける腱膜や筋肉が低下することで、目をしっかり開けられなくなる疾患です。複数の種類に分類されますが、神経疾患(重症筋無力症など)によって発症するタイプもあります。また、眼瞼下垂を治療せずに放置した場合、自律神経が失調し、片頭痛や肩こりなどの症状が起こる可能性もあります。同様の症状を起こす疾患もあるため、専門医による正確な診断が必要です。
「最近、瞼が重くなってきた」「額のシワがはっきりしてきた」など、思い当たる症状があれば、一度当院をご受診ください。

瞼の構造
瞼板

瞼の縁に沿って横たわる硬い組織で、瞼の外郭を構成して眼球を守っています。
左右が靭帯によって眼窩の骨とくっついており、ミュラー筋と眼瞼挙筋によって持ち上げられ、目が開きます。

ミュラー筋
眼瞼挙筋の裏側に存在しており、眼瞼に繋がっている筋肉で、瞼の開閉をサポートする役割があります。
交感神経によってコントロールされています。

眼瞼挙筋・挙筋腱膜

眼瞼挙筋は瞼を上げる働きがある筋肉で、挙筋腱膜を介して瞼板と繋がっています。
動眼神経によってコントロールされており、脳腫瘍などの病変により動眼神経に麻痺が起こると、眼瞼下垂に繋がる可能性があります。

前頭筋
額に存在する眉を上げる筋肉で、顔面神経によってコントロールされています。
眼瞼下垂を発症すると、眼を開こうと眉を上げる癖がつき、額に横ジワができてしまいます。

眼輪筋
目の周囲に存在する目を開閉する筋肉で、顔面神経によってコントロールされています。
顔面神経麻痺が起こると、この筋肉の働きが阻害され、目を開け閉めしづらくなります。

 

●眼瞼下垂に特徴的な症状

眼瞼下垂に特徴的な症状

  • 瞼が重くなる
  • 目を開けづらい
  • 視野が狭窄する
  • 睨んでいるような目つきになる
  • 「いつも眠たそう」と言われる
  • 目の奥が痛くなる
  • 涙が出る
  • 眼精疲労
  • 肩こりや頭痛が起こる
  • うつ病を発症する

 

●眼瞼下垂になりやすい人の特徴

眼瞼下垂は様々な原因があります。
以下では、眼瞼下垂になりやすい方の特徴を、「年齢」、「生活習慣」、「遺伝」の3つの要点にまとめて説明します。

年齢
眼瞼下垂は年齢問わず発症リスクがありますが、加齢に伴って瞼の筋肉である眼瞼挙筋が弱まったり、皮膚がたるんだりするため、特に中高年以降に好発します。
韓国の健康栄養調査によると、40歳以上の発症率は13.5%となっており、以下の表のように加齢に伴って眼瞼下垂の発症率が高くなることが分かりました。

年代 眼瞼下垂の発症率
40代 5.4%
50代 11.6%
60代 19.8%
70代 32.8%

70歳以上では発症率が32.8%を示しており、つまり3人に1人が眼瞼下垂を発症していることになります。眼瞼下垂の最大の原因は加齢です。

生活習慣
日頃から瞼に負担をかける行為をしていると、眼瞼下垂が起こりやすくなります。例えば、濃いアイメイク、アイテープやアイプチの使用、まつ毛エクステの装着、コンタクトレンズ(特にハードコンタクトレンズ)の装用などが原因となります。
また、花粉症やアトピー性皮膚炎などによるかゆみが気になり、瞼を触ることも瞼に負担がかかります。
これらの行為から、瞼にダメージが少しずつ溜まっていくと、挙筋腱膜が緩む、あるいは外れてしまい、眼瞼下垂を招く可能性があります。

遺伝的要因
眼瞼下垂は、生まれつき眼瞼挙筋が未発達、あるいは筋肉を支配する神経の異常が原因となる「先天性眼瞼下垂」と、加齢や生活習慣が原因となる「後天性眼瞼下垂」に大別されます。
先天性眼瞼下垂の一部は遺伝によって起こります。先天性眼瞼下垂を発症した方が家族にいる場合、その子どもも眼瞼下垂を発症する可能性が高いです。
なお、全てが遺伝というわけではなく、ほとんどは孤発性のものです。先天性眼瞼下垂は約80%が片目に症状が出ますが、遺伝が原因となる場合は両目に症状が出ることが多いです。

赤ちゃんへの視力への影響
産後すぐの頃は視力が非常に低く、物がぼんやりとしか見えません。生後1ヶ月~3歳半頃になると視力が発達していき、物がはっきりと見えてきます。
しかし、先天性眼瞼下垂を発症しており視野が狭窄した状態が続いた場合、視力の発達に影響が出て弱視や斜視の原因となることがあります。そのため、瞼が瞳孔に覆いかぶさっていることが認められる場合、早急に手術を行う必要があります。
先天性眼瞼下垂の手術は全身麻酔下で行うため、かかりつけの眼科に紹介状を書いて頂き、形成外科に受診することが必要です。
弱視や斜視が認められた場合、一度当院までご相談ください。

 

●眼瞼下垂の要因

眼瞼下垂の要因は、疾患や環境的要因、精神的要因、職業的要因など、様々なものがあります。
生活習慣の見直しや医学的アプローチにより予防効果が期待できるため、まずはリスク要因を把握しましょう。

疾患
高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病を罹患している方は、眼瞼下垂の発症リスクが高いです。
眼瞼下垂とこれら生活習慣病の関連性は明確にはなっていませんが、生活習慣病を改善・予防することで、眼瞼下垂の予防効果も期待できると言われています。

高血圧
血圧が持続的に高い状態です。自覚症状は乏しいですが、血圧が高い状態を治療せずに放っておくと動脈硬化が進行し、心筋梗塞などの深刻な疾患を引き起こす可能性があります。
高血圧は、塩分の過剰摂取やストレス、飲酒、喫煙、遺伝などが原因となります。

糖尿病
血糖値が高い状態が慢性化する疾患です。
運動不足や暴飲暴食、肥満など生活習慣の乱れにより、血糖値を下げる働きのあるインスリンの分泌が不足、もしくは作用が低下することで起こります。
糖尿病は完治させることは不可能で、悪化すると深刻な合併症を招く可能性もあります。
そのため、運動療法や食事療法、薬物療法を行い、血糖値を安定化させる必要があります。

脂質異常症
血中の悪玉(LDL)コレステロールや中性脂肪の値が高い状態、もしくは善玉(HDL)コレステロールの値が低い状態です。
悪化すると動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞を招く恐れがあります。
暴飲暴食や運動不足、肥満、ストレス、喫煙などが原因となり、普段からカロリーが高い食事となっている方は発症しやすいため、特に注意してください。
生活習慣の改善が必要で、食事療法や運動療法が治療の中心となります。


環境的要因
近年、パソコンやスマートフォンなどの長時間が、眼瞼下垂の環境的要因として話題に上がっています。
画面を長時間見続けていると、眼精疲労に加えて全身にも疲労感を覚えるようになり、眼瞼下垂の原因となります。
他にも、紫外線や明るすぎる照明などの光による刺激、ほこりやクーラーの風邪などの機械的な刺激も、瞼の負担となり、眼瞼下垂を引き起こす可能性があります。

精神的要因
瞼の開閉をサポートする役割があるミュラー筋は、自律神経によってコントロールされています。
そのため、精神的なストレスに晒されて自律神経が失調すると、ミュラー筋の働きに障害が起こり、眼瞼下垂に繋がることがあります。

職業的要因
工事現場や外回りの営業など屋外での仕事が多い方は、眼瞼下垂になりやすいと言われています。これは、汗などの汚れ、紫外線などにより瞼に負担がかかりやすいことが理由となります。
なお、内勤の方も長時間のパソコン作業によりVDT症候群を発症し、眼瞼下垂のリスクが高まることもあります。

 

●眼瞼下垂の予防と対策

日頃から取り組める予防法
眼瞼下垂の予防には、瞼に負担がかからないように生活習慣の改善が必要です。

瞼にダメージを与えない
目のかゆみが気になって擦ってしまう、瞼をマッサージすることで、瞼に刺激が加わってしまいます。
花粉症やアトピー性皮膚炎などによるかゆみが気になる場合、医療機関を受診してかゆみを軽減する治療を受けましょう。

また、アイメイクを落とす際も強く瞼を擦らないようにご注意ください。クレンジングの際に瞼に負担がかからないよう、濃いアイメイクやつけまつ毛はできれば控えた方が良いでしょう。また、アイテープやアイプチも、のり成分がかぶれを起こし、瞼に負担がかかってしまうため、なるべく控えましょう。

紫外線対策と保湿ケアを徹底する
紫外線や肌の乾燥によって加わる肌へのダメージは、肌に角質が蓄積する角質肥厚を引き起こします。瞼に角質が蓄積することで瞼の重量が増し、眼瞼下垂を招く恐れもあります。
そのため、紫外線対策と目元の保湿ケアを徹底しましょう。

パソコンやスマートフォンなどを見続けない
パソコンやスマートフォンを長時間使用すると目に負担がかかってしまうため、時折目をつむる、遠くを見るなど、画面から目を離すようにしましょう。
また、画面を見ている時のまばたきの回数を増やすことで、目の表面の乾燥を防げます。

コンタクトの付け外しはゆっくり行う
コンタクトレンズの付け外しの際に瞼を強く引っ張ると、瞼に負担がかかり、眼瞼下垂の原因となることがあります。そのため、付け外しはゆっくり行いましょう。
また、コンタクトレンズの装用時間もなるべく短時間にすることも有効で、ご自宅で過ごす間は眼鏡を装用することで、眼瞼挙筋の負担を少なくできます。
ハードコンタクトレンズを使用中の方は、ソフトコンタクトレンズに切り替えることでも眼瞼下垂の発症リスクを減らすことができます。

眼瞼挙筋を鍛える
上述したように、眼瞼挙筋が弱まることで眼瞼下垂に繋がります。
以下はご自宅でも行える眼瞼挙筋のトレーニングとなります。

―眼瞼挙筋トレーニング

以下の流れを1日に数回繰り返し行いましょう。

①目をゆっくりと閉じ、額の力を抜きましょう。
②左右の眉を固定するイメージで、手のひらで額全体を押さえましょう。
③両目を思い切り開き、その状態を5秒維持してください。
④静かに目を閉じてリラックスしましょう。


医学的アプローチ
医学的アプローチとしては、ボトックス注射が有効です。
ボトックスは、ボツリヌス菌から産生される毒素を抽出・精製した薬剤で、筋肉の働きを一時的に阻害し、収縮を低下させる効果があります。
加齢により眼瞼挙筋が弱まると、それを補うために前頭筋による眉毛を動かす動作により瞼を上げる癖がつくため、眼瞼挙筋の機能が低下していき眼瞼下垂を招きます。

額にボトックス注射を行うことで、前頭筋の働きが一時的にブロックされ、眼瞼挙筋によって瞼を上げるようになります。このように眼瞼挙筋を自然に鍛えられるため、眼瞼下垂の予防効果が期待できます。
なお、眼瞼下垂が既に起こっている方の場合、ボトックス注射を行うと症状が増悪する可能性があるため、検査を受けて眼瞼下垂の発症有無を確認する必要があります。

 

眼瞼下垂の症状が日常的に影響を及ぼしている場合は手術を受けましょう

眼瞼下垂が悪化し、上瞼が重い、瞼が目にかかって視野が狭くなったなど、日常生活に影響を及ぼしている場合は手術をお勧めします。
眼瞼挙筋の機能が大幅に低下している場合、上述したセルフケアでは治癒が望めません。
眼瞼下垂の手術は根治が期待できるほか、早期の段階で行うことができれば、加齢による皮膚のたるみや挙筋腱膜のゆるみのスピードを緩やかにでき、アンチエイジング効果も見込めます。

また、軽度の状態であれば手術のリスクも抑えられ、仕上がりもさらに良くなります。気になる症状があれば、早めに当院までご相談ください。

※当院では筋肉性の眼瞼下垂への手術は行っておりません。診断の結果、難しい症例の治療が必要な方は近隣の大学病院を紹介いたします。

 

よくある質問

Q.眼瞼下垂の発症リスクが高まるのは何歳頃からですか?
近年、パソコンやスマートフォンなどの長時間が、眼瞼下垂の環境的要因として話題に上がっています。
画面を長時間見続けていると、眼精疲労に加えて全身にも疲労感を覚えるようになり、眼瞼下垂の原因となります。
他にも、紫外線や明るすぎる照明などの光による刺激、ほこりやクーラーの風邪などの機械的な刺激も、瞼の負担となり、眼瞼下垂を引き起こす可能性があります。

Q.コンタクトレンズを装用していると眼瞼下垂のリスクが高まりますか?
コンタクトレンズ’(特にハードコンタクトレンズ)の長時間の装用は、眼瞼下垂の原因となることが多いです。

Q.アイテープやアイプチが原因となって眼瞼下垂が起こることはありますか?
アイテープやアイプチののり成分はかぶれの原因となるため、長期間使用していると眼瞼下垂の発症リスクが高まります。また、誤った使い方も原因となり、例えば、アイテープやアイプチを使用する際に瞼を強く引っ張るなど、刺激が加わり続けると、徐々に瞼の皮膚が弱まり眼瞼下垂に繋がる可能性があります。

Q.スマートフォンの長時間の使用は眼瞼下垂の原因になりますか?
実は、スマートフォンの長時間使用と眼瞼下垂は直接的な関係性についてははっきりと判明しているわけではありません。しかし、目の筋肉には負担がかかっており、疲労状態が慢性化すると、瞼を支持する力が低下し、結果として眼瞼下垂に繋がることもあります。

Q.精神的ストレスが蓄積すると、眼瞼下垂になりやすいですか?
瞼の開閉をサポートするミュラー筋は、自律神経により支配されています。自律神経は心身のバランスをコントロールしており、ストレスなど精神的な影響を受けやすいです。そのため、過剰なストレスを受けると自律神経は失調し、ミュラー筋の働きに障害が起こり、眼瞼下垂に繋がることがあります。

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